iiyama PROLITE E2208HDD ディスプレイ 分解・修理

iiyama PROLITE E2208HDD ディスプレイ 分解・修理

2012年に購入して4年ほど立つマウスコンピュータBTOパソコン付属のディスプレイ

「iiyama PROLITE E2208HDD」

が不調になったのでコンデンサ交換の修理を行いました。

ディスプレイのコンデンサ故障(膨張・破裂による機能劣化~破損)は

特にインバータ部分での原因が多く、多くの方がブログなどでその修理の

方法を書かれており、専門知識に乏しい場合でも実践できる、

とてもポピュラーなものになっています。

一方でインバータ回路には高い電圧がかかるため、感電事故には要注意です。

 

今回の故障内容

・PC電源投入後、数秒して画面が落ちる(ブラックアウト)。
・ディスプレイの電源ランプは正常起動を示す色(青)のまま
・ディスプレイ電源を何回か入れ直すと正常に表示、その後落ちることはない
・画面が落ちた際に薄っすらと画面表示がされているのが見える

 

様々な情報を調べたところ、インバータ回路の典型的なコンデンサ劣化の症状とのこと。
また、iiyama製ディスプレイではインバータ回路で一つでも昇圧の動作に不備があった場合
保護回路が働き、消灯してしまうとのこと。

症状の一致とディスプレイ挙動からコンデンサの劣化だろうと予測しました。

それで実際に分解(詳細な分解方法は後述)し、中を拝見。

全体的に中型サイズのアルミ電解コンデンサが膨張気味です。

特に右手前のコンデンサがかなり膨らんでしまっていることがわかります。

左のコンデンサも膨張のの度合いが大きく、気になります。

今回は手前側のコンデンサの交換を行って様子見をします。

 

必要な道具類


ブレてます。。ごめんなさい。。

・はんだごて
白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600

・コテ台
【太洋電機 グット goot】こて先クリーナー ST-30

・ハンダ
太洋電機産業 goot 高密度集積基板用はんだ品番:SD-60

・ハンダ吸い取り線
goot はんだ吸取り線 CP-3015

・はめ込み部分の開き工具
《在庫あり》iFixit Metal Spudger set iPhone、iPod用分解ツール [IF145-017-1]

・6角ネジ取り外し用レンチ(信号ケーブル部分)
★ミニストロングボックスレンチ4.5mm(2mmナット用) 2966

 

・交換対象のコンデンサ

Elite 35V 330μF 105℃

・交換用コンデンサ(マルツオンラインにて購入)

日本ケミコン or Rubycon 35V 330μF 105℃

日本ケミコン 高周波平滑用電解コンデンサー 35V 330μF(105℃・低Z品・10個1セット)

この他色々道具が置いてありますが、基本的に使ったのは上記の工具です。

※他の工具

太洋電機産業 吸取線 口金付 幅1.5mm長2m 【CP-15Y】

iPhone4/4s/5/5s/5c/6 アイフォン 分解用工具 Kezhaoye iPod iPad iPhoneなどの開腹ツール

 

半田ごて以外の道具は何を使っても問題ないのですが、半田ごては基板と接触するものなので、

十分な注意を払う必要があります。

 

一般的な安い半田ごての場合、温度調節ができず、基板に対して異常な高温になってしまう場合が多く、

ハンダごてをよく扱う方以外は、温度調節可能なハンダごてで安全を期することをおすすめします。

ハッコー製のハンダゴテは温度調節可能な機種があり、精密機器用のものとしてはポピュラーとのこと。

我が家にも半田ごては1本ありましたが、温度調節ができず、小手先もだいぶ酸化膜がのってましたので、

新たにハッコー製ものを使うことにしました。

 

分解手順

iiyama PROLITE E2208HDD の手順となります。

この機種ははめ込み固定式の部分が多く、しかしながら中の構成は非常に簡素で、

はめ込み部分を外せれば分解はとても用意でメンテナンス向きと言えます。

ちなみに保証期間が切れたこのディスプレイの修理費用をiiyamaさんに聞いてみたところ

「インバータ部分の交換が必要になりそうですね、概ね4万円ほどになります」とのこと。

今の御時世、4万円あったら30型程度は余裕で買えてしまいます・・・

iiyamaさん的にはディスプレイは消耗品、ということなのでしょう。。。

PHILIPSさんは5年保障つけてくれてるんですけどね・・・

さておき分解の手順です。

上記の通り外枠のはめ込み部分を外したら難関は終わり、という構成です。

 


まずはこの2箇所のネジを外します。
台座を固定しているネジですね。これを外したら台座を下に引き抜きます。

 


引き抜いたとこでその下のネジ3箇所を外します。
外枠を固定しているネジはこれで終了です。後ははめ込み部分を外せば外枠が取れます。

 


まずは長辺部分からヘラを差し込んでいきます。隙間部分が狭く、はめ込み部が浅いため、
力任せに差し込むとツメなどが破損しますので、軽く浅く差し込み、左右にスライドさせます。

一定箇所にツメ部分がありますので、それをパカっと開けます。

 


次に側面、ではなく角部分に差し込みます。角部分4箇所のツメで
強く固定されるようになっていますので、ここを外すとカバー全体が浮きます。

 


浮いたカバーを外す際は基板が背面側カバーに持っていかれる場合が
ありますのでご注意を。

ケーブルが3箇所ありますので、無理に引っ張ると切断などしてしまいます。

 


背面カバーが外れましたら上記3箇所のケーブルを外していきます。

 


下部と右部のケーブルはわかりやすい構造をしていますので比較的簡単に抜けると思います。
下部はレバーをつまみながら、右部は固定のツメを上げて引き抜きます。
左部のケーブルですが、図の固定具を上方向に開いてから抜きます。

 



ケーブルを抜いたら液晶部分と基盤部分が分離できます。
裏返すと基盤が見えました。基板のネジ6箇所とPC接続部分の6角ネジを外して
ケースから基盤を取り外します。

 


これで基板部分の取り外しは成功です。

 

あとは交換対象のコンデンサを半田ごてを駆使して外していきます。

はんだごての温度は250~400度程度が作業しやすいかと思います。
ただし、400度は基板を痛める恐れがありますので、技術力に応じて
ハンダこての温度を調整してください。

外す際はコンデンサへの温度の影響はさほど気にする必要がありませんが、
新しいコンデンサを取り付ける際はコンデンサへの熱の影響があるため、
高温の状態に長く晒し続けるとコンデンサの素子を痛めてしまいます。
十分注意してください。

 

・コンデンサ交換後

目的のコンデンサを交換しました。
組み直す前に問題の症状が出ないかをチェックします。
※高電圧部分がありますので、チェックの際は基板部分、金属枠部分、
どちらにも絶対に触れないでください。感電の危険があります。


見事問題の症状、「数秒で画面落ち」が改善されました。

 

 

今回は目をつけたコンデンサが症状の原因だったのでうまくいきましたが、
目視で膨張しているコンデンサは他にもありましたので、交換後症状が改善されなければ
他の膨張しているコンデンサが原因となっている可能性も考えて順次交換して
チェックという作業が必要です。

本当は膨張しているコンデンサすべてを交換したほうがいいのですが、
1つ目のコンデンサ交換の際の温度調整やらコンデンサの足を通すための穴の確保など
かなり気を使ったので今回はこれで完了とします。。

外部修理費4万のところ自主修理で7千円程度でうまくいったので感無量です。
次回からは交換部品費用だけで済む点、今回の経験値が役に立つ点、
とても有意義な作業だったと思います。